藁や(スズキwユカリ)

藁や(スズキwユカリ) ✕ 地方創生ユニオン

 
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〘簡単な自己紹介をお願いします〙 安曇野市明科にて、私たちは家族で自家消費米を無農薬で育て、その藁を使って篭などの道具を制作し、販売しています。また、毎週火曜日の午前と午後には自宅で教室を開催しており、イレギュラーなワークショップや宿泊型ワークショップなど、さまざまな場所で講座も行っています。 私は千葉大学工学部工業意匠学科意匠論意匠史研究室で学び、藁の文化研究を専門とする宮崎清先生のもとで学びました。手仕事を通じて人々を繋げることに憧れていましたが、安曇野に住むようになり、田んぼを耕す中で藁を活かす方法を模索し始めました。昔の人々の藁を活用した知恵に共感し、藁を大切に思っています。 藁を繋ぐ素材として選んだものの、作りたいものが身近になかったため、7年前に東京の日本民藝館を訪れました。そこで偶然にも展示されていた肥篭に一目惚れし、その場でスケッチしました。その後、作り方を調べ、試行錯誤を繰り返しながら、今の形に仕上げました。私が作る藁篭はオリジナルであり、形やデザインは現代の生活に適したものとして工夫されています。 5年前から本格的に販売を始め、同時に教室もスタートさせました。私は5人の子供の母親で、千葉県我孫子市で新興住宅地で育ちました。家族との協力を大切にし、自然との調和を求めながら、藁の魅力を広めていくことを使命としています。
 
〘明科の魅力は?〙 新興住宅地で育った私にとって、明科での生活はまさに土に近い暮らしの魅力が広がっています。下手くそで忙しい日々を送っているけれど、田んぼ、畑、目の前に広がる野原や木々、そして日々変わる季節の移り変わりが、楽しみの源です。 安曇野市は本当に素晴らしい場所です。ここに住む人々は、自分たちの家から見える春が一番美しいと感じているのではないでしょうか。私もその一人です。家の前に広がる犀川の河原の柳の葉が徐々に変化し、押野山の木々が日ごとに色を変えて芽吹いていく様子を見ることができます。山桜が咲き始める季節は、本当に美しい瞬間です。春から夏にかけても、新緑が日々変わり、朝の光に輝きます。もちろん、秋も。四季が次々とやってきて、毎日が新たな景色と色彩で彩られる生活が、私たちの大好きなことです。 明科に住む私たちから特におすすめしたいのは、長峰山からの景色です。特に秋から冬にかけて、雲海が見られることは魅力の一つです。また、明科には龍門渕テラス、布色遊びなおみ、よし盛、のきさきカフェ、ヤドリギ、ちいさいパンや、山道、えびす屋など、おすすめのお店がたくさんあります。これからもっともっと楽しいことが増えそうで、ワクワクしています。 押野山の春、雷山の秋は、特に美しい季節です。明科での生活は、四季折々の景色と豊かな自然が、私たちに喜びと感動を与えてくれることを示しています。
 
〘地方活性化のためにやってみたいことは?〙 私は、安曇野が藁細工の産地として発展することを密かに夢見ています。この地域では、若くて熱意を持った無農薬の農家がたくさん起業しており、北アルプスからの豊富な水が利用できます。この地で栽培される稲の藁を活用して、藁細工を行う人々が増えることを願っています。 無農薬で田んぼを耕し、稲を育てることは非常に大変な作業です。その努力の結晶である藁に付加価値を付け、農家さんたちの副収入に貢献できれば素晴らしいと思います。日本には豊富な藁が存在し、これらの素材を活用して生活に必要な道具を作ることは、環境的な持続可能性に貢献します。 藁の文化は、日本で長い間受け継がれてきた持続可能な生活の知恵です。産業革命以降に激変した時代でも失われてはならない貴重な要素です。藁細工はボランタリーな活動として受け継がれてきた部分も多いと感じますが、夫婦共働きが主流となりつつある現代において、その善意だけでは継承が難しい状況にあるかもしれません。 私は、藁細工を仕事として成り立たせ、経済的に支える方法を模索しています。この挑戦は楽しく、藁を触れることは心温まる体験です。藁は多くの素晴らしい方々を繋いでくれます。先人たちに感謝し、私もその伝統を次代に継承し、地方の活性化に寄与したいと思っています。